みんなで行こう
南あわじ丸山海水浴場
地引網体験&バーベキュー

 本文に入る前に大漁旗の話をここで
みんなで海で地引網を引くという今回のイベント
海で魚を捕るといえば欠かせないのが大漁旗
地元の仲間たちと話をしているうちに大漁旗を作ろうという話になった
みんなからどんな風に作るか溢れんばかりの意見が飛び交った
 下地は布団カバーで
するとデザイナーの方が 私が大漁旗を油絵具で書いて来ると言ってくださった
それで参加者もみんな納得しお願いすることに

すると一週間後その方が
提案があるんだけどと話を切り出した

アクリル絵の具で書いてしまえば簡単なんだけどもそれだと
目が見えない方には何のことかさっぱりわかんないなと思って
思いついたのだけれど…
と言いながら 今日は布切れをたくさん持ってきたからみんなでこれから海の生物を
ハサミで切ってもらえないか

みんなが切り抜いたものを私が縫い付けて完成させてくるから
それだと手に触っても分かるからね・・・

 【ここで言っておくが…】
その方は決して時間を持て余している方ではないどちらかといえば忙しい方なんだけど
そしてそのままでそこにいる全ての人がハサミを持ち「チョキチョキ チョキチョキ」
思い思いにいろんな色の端切れを切り始めた
なんや かんやと言いながら
私は無理だと言いながら 結局できたのは 「ワカメ」
黙々と切っていた方が タコ ちゃんと足が8本ある
その後も
それはアコヤ貝だ?
それはヒトデ?
それはサンゴ?
それはウツボ
そして僕が切った布切れ
なんとも名前を付けがたい

「そうだシュモクザメ」なんだそりゃ!

なんだかきちんとできていないことがこんなに楽しいことなんだと思ったのも久しぶりのことであった
そして1ヶ月ほど時間が経ちいよいよ完成したとのこと
その日は大漁旗完成祝賀パーティーを開き
バーベキューコンロを使い手焼きのバームクーヘンでその場を盛り上げ
雨の中参加してくださった方にお披露目の時が

すごい
すごい出来栄え

手で触っても何かがそこにあるのがわかる
見えている人も 見えない人も
ただしあとは触った人の感性によって魚の種類も変わってくるのかもしれないけどね

中央には黒い太い布切れを切り取った「大漁」という文字
その上にはたいが丸々一匹
鱗も背びれも胸鰭もきちんと全部ついた
鱗は1枚1枚縫い付けてある
阿古屋貝の中央には パールが
目が見えている人も大興奮
あちらこちらの人に大漁旗をお披露目するとその場その場で笑顔と驚きが混在する
今回の大漁旗
決して視覚障害当事者の私からお願いしたわけではない
当事者の私と同じ時間を過ごすことの中から気づいて提案してくれたことが
一番大きなことなんだろうと思う
この大漁旗には人々の垣根を超えた優しさがいっぱい詰まっている大漁旗何だろうと
それぞれの個性を越えて
それぞれの人たちが理解し合い
この大量旗には 誰かを区別することなく
逆に 誰もが この旗を中心に 笑顔になれる
そんな素晴らしい 「大漁旗」のように誇りに思う
いよいよ地引網当日
5月29日はいよいよ本番
この大漁旗の前でみんなが笑顔になりますように

去年の夏から企画し始めたこのイベント
視覚障害者になり楽しみは何もなかった私

だったら自分で思いっきり楽しめる場所を作ってやると比較を作り始めた
約10ヶ月かけてコツコツと

そしていよいよ5月29日 当日
人が集まるのか
天気はどうなのか
魚は取れるのか
予定通りの工程表で帰ってこれるのか
誰も怪我人が出ないのか
本当にみんなが笑顔になれるのか
当日を迎えるにあたってあれやこれやと頭の中はフル回転

そうしているうちに当日の朝8時 JR 伊丹を出発する時間

天気は快晴
ほとんど風もなく絶好の日和
私の思いだけではなく 参加者全員の思いが この日の聖典を呼び込んだのだと思えば
もう イベントの成功は 確実となり

伊丹の集合場所にも 誰一人遅れてくることなく
途中の駅でも誰一人遅れることもなく
全員無事バスに乗ることができ
それでも参加者にも少し緊張した雰囲気も漂わせながら
バスは順調にそして快適にエンジン音を響かせながら淡路島に向かってバスは走っていく

明石大橋を渡る前にはトンネルがあり
暗いトンネルから突然前面が明るくなり
その瞬間展望が開き大きな橋とともに大きな空そして海が見えるこの瞬間が私はとっても大好きだ

淡路サービスエリアで最初の休憩をはさみ 予定道理に淡路島丸山海水浴場に向かうバスの中
綾小路きみまろの漫談を聞き
サービスエリアで タコの串天が美味しかったと誰かが言ったり
少しずつ笑いも増え 少し硬かったみんなの表情も
笑い声が増えて いよいよ 時間道理に待望の現地に到着


バスから降りると やはり波も穏やかで
風もほんのり甘い潮風とともに 規則正しく穏やかに打ち寄せる波の音を
心地よく聞きながら
絶好の地引き網日和になってくれたようだ

そしてバスから全員が砂浜の上に降りた時にはまだ誰もがこれから起こることを想像できなかったのではと感じる

浜辺ではすでに漁師さんが網を引く準備をして私たちを出迎えてくれた
右側と左側に分かれて網を引き始める
誰もが無言で・・・ 
まだ この段階では 波の音さえ聞こえてくる静けさ

弾き始めは 手ごたえもほとんどなく ざわざわと誰もが疑心暗鬼になり始める
本当に 魚は取れるのか・・・
あれ・・・
なんだか思っていたより軽い

当然最悪の事態を考える
亜美には魚はほとんど入っていないのではないかと
ほとんどの人が そう思っただろう
それでも参加者の全員 かすかな希望と期待を頼りに少しずつ声を合わせる
大人も子供も小さな子供も必死になって網を引いている

それでもその時はこれから起こることに誰も想像は及ばなかったと思う

アミをひいているうちに海水にしっぽりと濡れた網が現れてくる
それでも誰もが海水に群れながら一生懸命 網を引いている
その頃からみんなの声も大きくなりだし

次は 濡れたロープに網がついてくる
ロープと一緒に みんなが夢中に網を引き恥ネタ頃
誰かが「重たくなってきた」
「それはロープが群れているからや」
と声が出始める
みんなの思いはそれぞれ違う感覚になり始めたころ
「魚がはねた」
小さな男の子の声が聞こえたのをきっかけに
網の中で 一気に魚のはねる音が・・・
 さらにロープを引くのに集中し始め
かなり網は重くなり
海水で群れることも気にせず
みんなの前には ぴちぴち跳ねる魚の姿や 音が聞こえだし
誰かが大きな声で 「大漁や」「これは大変だ」
思わず 歓声が上がりやがてどよめきながらの興奮に代わり
漁師さんが 大急ぎでとれた魚を吐露箱に入れるも入りきれず
桶の中にも 50センチ60センチもの大きなハマチやカンパチが何本も
それをみんながつかみ記念写真を撮るものも 重さのため両手で抱きかかえるものも
黄色い悲鳴の先には50センチほどのサメがぎょろりとにらみ
ほんの10分前の想像した不安など すっかり忘れ 誰もが驚き 興奮し声を上げ
魚と同じように 参加者税院のエガを二 浜辺の風景は すっかり変わっていたんだよ・・・

大量だ・・・
漁師さんが言うには 普段の3倍とれたと大慌て
50センチを超えるハマチ 60センチはあるカンパチ
30センチの真鯛も大量25センチほどの真鯛やカワハギも数えきれないほど
50センチはあるサメも

みんな大喜び
魚を抱き上げたり 持ち上げたりしながら記念撮影
みんなの生き生きした表情 声を聴いているだけで 私も大満足

ただゆっくりしている暇はなく あまりにも大量だったので
急いで.バーベキュー会場へ移動
当初の計画では 私も裁く予定だったのだが
それではさばききれないとのことで 人を集めてくれ対応していただきました

早速 魚をさばきおつくりに 
食べても食べても食べきれないほどのおつくり
コンロの上には25センチの真鯛の丸焼きが20も30も 食べきれない真鯛の丸焼き
参加者から もう食べきれないとの悲鳴が
それでも 万一 魚が取れなかった時のために用意していた
焼きそば ウインナー、焼肉 きつねうどん
いかの一夜干し 焼き芋もほとんど平らげ
最後は 焼きダイもさばききれなかった魚も大量に残り
ここでも想定外の笑顔の花が・・・

おそらくほとんどの人の人生で 地引網も初めてだと思うが こんなにおつくりや 焼きダイを もういらないと思ったことはなかっただろうと想像する

それでも 残った焼きダイはアルミに包み何人かの人が持って帰り コンロの上は空っぽに

浜辺で日よけのテントの下 海から時折福塩野風邪
焼き魚 焼肉 焼きそばの匂いと 焼く音
それらと 皆のはしゃぐ声・・・
きっと素敵な風景だったと想像している間に
2時30分になったので 皆は、大満足で帰路に就くことができました

さて まだ大量に残った ハマチ 真鯛 カワハギ
心配することなく 帰りのバスで希望者に分けて持ち帰っていただきました
中には 大きな真鯛をぶら下げて 電車で帰った 人もおられたようです

帰りの淡路サービスエリアでは さらにお土産をいっぱい買い込み
予定道理帰りのバスも安全に帰路につき 参加してくださった方々が素敵な思い出とともに各自 帰宅され 家族に また友達に今日の出来事を嬉しそうにまた 自慢げに話している姿を想像するだけで 私は大満足でした

最後の伊丹で降りた
5歳の海に始めてきたと話す男の子と参加したご家族が
降り際に
「この子を参加させて良かった」
これから この子を育てていくための希望が見つかりましたと嬉しそうに話していただいたことも 今回のイベントを考える大事なポイントだったので 私にとって 何よりものはなむけの言葉となりました

5歳の男の子とずっと遊んでいてくれたのは 3年生の男の子だったようです.

障害がある ない
大人も子供も
男性も女性も

誰もが持っているできることが 自然に混ざり合い
そこから生まれる新しい希望の星
今回のイベントが そのきっかけの一役を果たせたようで
これからも「サラダドレッシング」の力を信じて 
一人でも多くの人が笑顔に を夢見て活動を続けていければと考えています

今回のイベントでも たくさんの方々の影なる協力のもと無事開催できたことにも
心より感謝申し上げます

ここからは 私個人の思いだが
今 

子供はこっち
障碍者はこっち
大人はこっち
お年寄りはこっち
となり 昔のように それぞれのできることに希望を忘れ
つながりを忘れ
そんなことに慣れっこになった今
先日の淡路島では そのさみしさや 悲しさを
一瞬でも忘れることのできた時間であったことを 私は一生忘れないだろう

【サラダドレッシング】
油と 調味料が分かれ そのままでは美味しくないものを
よく振り 混ぜ合わすことにより とってもおいしい調味料に代わる

これからもそんな日常が増えればと 地引網が教えてくれたような気がする



以上